8月18日(月) Day3「マッターホルン」

起床

スイスの午前6時は日本の午後1時。よほどの寝坊助でないかぎり、朝4時か5時ぐらいには目が覚めてしまいます。
窓を開けると雲一つない晴天。今日は一日中マッターホルンなので、否応なく期待が高まります。
フロントに下りてみると見事に誰もおらず、正面玄関もロックされています(宿泊客は部屋のカードキーで出入り可能)。まあ、日本のホテルみたいに24時間開いてるのもどうかと思うけど。6時には営業してた方がいいんじゃないかなあ。

地球の上に朝が来る

02 撮影ポイントに到着したのが6:10。夜明け直前の濃紺の空にマッターホルン(4478m)が青く浮き上がっています。月がちょうど山の横に出ていて、写真撮影にはもってこい。橋の欄干にインターバルカメラを設置して、朝焼けを待ったのでした。
しばらくすると山頂から徐々に赤く染まってきます。明暗境界が動いているのが分かるような気がするほど。山全面が赤く染まると、夜が明けて普通の青空に白い山となったのでした。
この時期はツェルマットから見える面が全て朝焼けに染まってしまいますが、季節によっては半面だけ日が当たり、残りは暗いままという珍しい状態が見られるようです。

IMG_0206 気づくと周りは日本人だらけ、僕はカメラを何台も持っていたのでベテランだと思われたらしく、何人かに「シャッター押して下さい」と日本語で頼まれてしまいました。「ここは箱根か!」と心の中でツッコミを入れたくなってしまったほど日本語率が高かったです。朝早くからこういう所に集っているから「日本人は早起きで勤勉だ」という間違った印象が伝わってしまうんでしょうね(そういう人もいるんだろうけど)。


夜明けのマッターホルン

ゴルナーグラート(Gornergrat)

IMGP1165.JPG 7時過ぎにホテルに戻ると、さすがにドアが開いていました。レストランの窓際の席に座ると、雲ひとつない青い空にマッターホルンが映えている。

登山鉄道に乗る

IMG_0237.JPG まずは登山鉄道に乗り、ゴルナーグラート展望台を目指します。出だしは森の中ですが、そこを抜けると一気に視界が開けてくる。180度のパノラマでアルプスの山々が、眼下にはツェルマットの街が見えていて、「こういうのが見たかったんだよ」と心の中でガッツポーズ。
車内放送はドイツ語、イタリア語、フランス語、英語で流れていて、さすがは国際的な観光名所と感心していると、最後に「次の停車駅は~」と日本語のアナウンスが・・・親切ですね。実際、周りは日本人ばかりでした。

ゴルナーグラート到着

IMG_0227.JPG 約30分の乗車で終点のゴルナーグラートへ。冬場はスキー場になるだけあって、なだらかな斜面が続く丘の上です。マッターホルンまで直線で10Kmほど離れていますが、景色を遮る物が無いので「マッターホルンの近くに来た」という感じがします。ここでスキーをしたら確かに楽しいかも。くどい様ですが「アルプスの若大将」のスキーの場面は、ゴルナーグラート付近で撮影されています。

IMG_0211.JPG 駅から百メートルほど進むとゴルナー氷河が一望できます。氷河を見たのは初めてだけど、第一印象はそれほど感激する訳ではなく「へぇ」という感じ。それでも、よく見ると氷河の上を黒い線があって、これは何百年かかけて土が運ばれた跡かと思うと、多少は感慨がわき上がってきたのでした。
氷河が覗ける斜面は坂というより崖。100m以上はある絶壁なのですが、ところどころに段差があるので万が一落ちても何とかなるのかな? こんな危なげなところにロープも張っていない大らかさに驚いたり感心したり。

IMG_0230.JPG 駅からは下り1時間ほどのハイキングコースがあり、逆さマッターホルンが見られる池に行けるらしいのですが、予定が詰まっているのでパス。日本人の団体さんは結構歩いていたみたいです。
1時間ほどの滞在でゴルナーグラートを後にして一旦ツェルマットへ戻ります。
ツェルマットの駅は朝と違って大混雑。まるで開園前のディズニーの様にガイドロープに沿って人がびっしりと並んでいます。偶然とはいえ、朝早くの便に乗って正解でした。

08:24-08:57、ツェルマット駅→ゴルナーグラート駅/ゴルナーグラート鉄道
10:19-11:03、ゴルナーグラート駅→ツェルマット駅/ゴルナーグラート鉄道
 往復38Fr.(正規料金76Fr.からスイスパスで半額)

マッターホルン(Matterhorn)

IMG_0250.JPG ツェルマットから夏場の観光コースはスネガー(登山鉄道+ロープウェー)、ゴルナーグラート(登山鉄道)、クライン・マッターホルン(ロープウェー)の3つ。
それぞれツェルマット駅を中心に放射状に配置されていて、別のルートへ行くためには一旦街に戻る必要があるのです。
そんな訳で、本日第2の目的地は「クライン・マッターホルン展望台」。交通機関で行けるヨーロッパ最高峰(3883m)です。富士山より高いところにロープウェーで行けてしまうとは、スイス人の開発意欲には恐れ入るしかありません。

ロープウェーに乗る

ticket_ropeway 鉄道からロープウェーのヴィンケルマッテン駅までは約1Km。バスも出ているのですが、景色がいいので歩いてみました。ロープウェー駅で料金表を見るとピークパスとかパノラミックパスなど種類が多すぎて、どれを買えばいいのか分からない・・・窓口でスイスパスを見せて「ピークまでの往復」と言ったら通じたようでした。後で調べるとちゃんと一番安い料金になっていて一安心。

マッターホルンの麓へ

IMG_0257.JPG 先ずはロープウェーに乗り「マッターホルンに最も近い駅」シュヴァルツゼーを目指します。眼下には緑の牧場に点々と民家が見えていて、絵はがきの様な景色。最初はマッターホルンが見えているのですが、山陰に入ると一旦隠れてしまいます。そして、終点付近で丘の向こうから徐々に白いマッターホルンが姿を現すのは感動的

IMG_0259.JPG シュヴァルツゼー駅からマッターホルン山頂まで地図上では約5km。まさに眼前に迫って見えます。手前にシュバルツ湖、左手にクライン・マッターホルン、眼下にツェルマットの街と、どっちを向いても絶景が広がっています。せっかくなのでホテル・シュバルツゼーのオープンテラスで1杯450円のコカコーラを飲みながら景色を堪能しました。

IMG_0266.JPG 椅子に座って景色を眺めていると、隣に座っていたお爺さん(たぶんドイツ系)が「君はこの山々の名前を知っているかね?」と話しかけてきたので、これ幸いと順番に名前を教えてもらいました。
一通り説明を聞いて、ふと山を見ると、はるか彼方(約6Km)の山頂にきらきらと光る細い筋が見えています。「あれもロープウェーですか? ここから行くことができますか?」と聞くと力強い「Yes」という返事。
シュバルツゼーに来ただけでもお腹いっぱいの状態なのに、まだあんな先まで行けるのかと思うと、さすがに気が遠くなりそう。いや、空気が薄くて目眩がしてるのか?

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シュバルツゼー駅での写真

クライン・マッターホルン展望台

IMGP1226.JPG 気を取り直してクライン・マッターホルンに向かいます。ここは氷河の真上を横断するというワイルドなコース。それだけにロープウェーの支柱間隔がもの凄く離れています。終点付近で振り返ると、まるで支柱がどこにもなくて、空中からぶら下がっているような錯覚に陥ったほど。
「トップをねらえ!」の軌道ロープウェイといえば、一部の人にはすごく分かりやすいでしょう(笑)
しかも、終点駅は尖った岩の中。こんな険しいところに建築物が存在できるというだけでも驚異の光景でした。
駅に直結した階段を登るとすぐに展望台です。天気がよかったのでマッターホルンはもちろん、はるかイタリア、フランスまで見渡せます。モンブランまで見えていたので得した気分でした。

クライン・マッタホーホルン駅もスキーのコースになっています。ここからイタリア側にも徒歩で行けるんだけど、パスポートとかどうしているんでしょうね。
8月なのに雪が残っていて、スノーボードを楽しんでいる人もいるようでした。せっかくだから雪原に出てみようかと思ったのですが、どういう訳か足が重くて前に進めません。椅子に座り込むと疲れが一気に出て頭痛までしてきました。これが高山病と言うやつでしょう。ロープウェーで一気に3800m級まで来たんだから調子が悪くならない方がおかしいぐらい。
さすがに身の危険を感じたので雪原には出ずにロープウェーで帰路に着きました。まあ、周りの人は割と平気そうな表情をしていたので、普通の体力の人なら問題ない筈です。

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クライン・マッターホルン駅にて

帰りは寄り道しなかったので30分ほどでツェルマットに到着。一日でこれだけ上下したのは(飛行機を除いて)初めてです。
あまり歩かなかったけど、空気が薄くて肺に負担がかかったのか、もの凄い疲労感。こちらの午後3時は日本時間の午後10時ということもあり、ホテルに戻ると夜まで寝てしまったのでした。

12:30出発
・ヴィンケルマッテン→フーリ
・フーリ→シュバルツゼー
・シュヴァルツゼー→トロッケナーシュテック
・トロッケナーシュテック→クライン・マッターホルン
・クライン・マッターホルン→トロッケナーシュテック
・トロッケナーシュテック→フーリ
・フーリ→ヴィンケンマッテン
14:30戻
往復43.5Fr.(正規料金87Fr.からスイスパスで半額)

黄昏

IMG_0274.JPG 目が覚めると午後7:30。夕食のために夜の街へGo!。
オープンテラスのレストランに入り、ビールとつまみを注文。マッターホルンが夕焼けに染まるところを見ながら、ツェルマットの夜は更けて行くのでした。