Case 1, 北海道中央バス・幅寄せ(14:00)
現場は片側二車線で緩やかな左カーブ。
路肩が細くなるところでバスが外側線を踏みながら至近距離で追い抜いたものです。
段差とバスに挟まれて転倒するかと思いました。最接近時は50cmぐらいしか離れていません。
前方は赤信号だったので、ここで追い抜く意味は全くないのです。
この距離で自転車に気づかなかったのなら不注意極まりないし、気づいていたなら運転手に害意があったとしか思えません。
赤信号で追いつき運転手にドアを開けるように合図してみましたが・・・ガン無視です。
次の停留所で更に合図しますが・・・やはり無視。
君らのモラルはどーなってんの?
死ぬような思いをさせた相手を見逃すほどお人よしではありません。
中央バスの営業所に電話して、運行管理者にクレームを入れました。
当日中に運転手に事情聴取してもらい、その結果を聞いたところ、「運転者は側方距離を十分に取っていた」「合図には気づいたが接触していないので応対する必要は無いと判断した」とのこと。
うーん、「異常接近」という事実があるからわざわざ電話しているのに、その事実を「無かった」と主張しますか?
一般的なバス会社では安全運行のマニュアルが存在するはずです。中央バスでは自転車追い越し時に側方間隔を2m保持する規則になっているとのこと。
外側線を踏んでいるのに2m確保したという主張は矛盾しませんか? と聞くと運行管理者はトーンダウン。運転手に何らかの教育は行うとのことでした。
どう転んでも玉虫色の決着にしかならないだろうから「教育」とやらに期待して完了です。
Case 2, 自家用車・接触事故(17:00)
現場は片側三車線の幹線道路。
後方から近づいてきた自家用車が自転車に追いついたとたんに左折を開始。走路が交差して接触しました。
自家用車は路外の駐車場に入りたかったようです。
ドライバーは年配の方で会話が支離滅裂。「自転車は見えていた」「ぶつかっていない」と無茶な主張を繰り返します。これは警察を呼ぶしかないと携帯を操作していると、ドライバーは「警察に行く」と言い捨てて発車してしまいました。いや、あの、お巡りさん呼んだほうが早くね? それとも逃げたの?
クルマは警察と違う方向へ進んでいきますが、住宅街で自転車を振り切れるはずもありません。
観念したのか、それとも道を間違えていただけなのか、最後は警察署に到着しました。
で、結局はお巡りさんを連れて全員が現場に戻ることに。なんと言う時間の無駄。
僕の事情聴取は5分ほどで終了。ドライバーの方はと言うと、時空が捻じ曲がったのかと思うほど不可思議な主張をするために1時間たっても終わりません。最後はお巡りさんも声を荒げていました。
なんでも「自転車を完全に追い抜いた直後、自転車が一瞬で20mほど後退したので左折しても安全だと判断できた。接触はしたがぶつかってはいない」という主張だったようです。
この後は病院に行ったり相手方の保険会社と交渉をしたり、1ヶ月以上も延々と面倒くさい手続きがありました。
この間、加害者からは謝罪の一言もありません。高齢による慢性的な判断力低下らしいので、免許を返上したほうが世の中の為だと思いますけどね。
Cacs 3, 長栄タクシー・急停止(10:00)
現場は片側二車線の直線道路。
客降ろしのタクシーが第2車線から第1車線に急ハンドルを切り、自転車の側面に衝突する寸前で双方が急停止しました。
タクシーは道路に対して30度ほど傾いています。最接近時は1m以下、バンパーに蹴りを入れられる距離でした。
タクシーは一旦後退してハンドルを切って再度前進。この動きからも如何に近かったかが分かります。
客降ろしの間、助手席側に立って合図をしました。せめて頭ぐらい下げるかと思いきや、運賃をしまったとたんに発車しました。
職業運転手って逃げるのがデフォルトなの? 写真は撮ってあるので営業所に電凸です。
運行管理者曰く「1.自転車には気づいていた」「2.自転車と並走していて少しハンドルを切ったことを接近と感じたかもしれない」「3.自転車を先に行かせようとして停車した」「4.自転車から合図されたのは気づかなかった」との事。
予想通り嘘のオンパレード。
運行管理者の目の前にドライブレコーダの動画があるというので、こちらから指示して再度映像を確認させました。
1.自転車には気づいていた
2.自転車と並走していて少しハンドルを切ったことを接近と感じたかもしれない
タクシーは路駐を避けるために第2車線に移動し、その直後に客の合図で第1車線に移動しています。
僕の感覚だと、タクシーは路駐を回避した直後に異常接近しているので「並走」なんて事実はないし、「少し」ハンドルを切った程度ではありません。
ビデオにもその通りに写っているので、主張1,2は撤回するとの事。
3.自転車を先に行かせようとして停車した
「停まらなくても問題ないが安全の為に停まった」という風に聞こえます。実際にはタクシーが急停車しなければ確実に衝突していました。
「停車後に後退してハンドルを切ったということは、停車時の距離は1m以下ですよね?」と尋ねると運行管理者は「ビデオなので距離は正確に分かりません」とのこと。それってつまり「1m以上であるという確信が持てない程に近い」って事なんだけど。語るに落ちるとはこのことか。
主張3も撤回するとの事。
4.自転車から合図されたのは気づかなかった
僕はタクシーの後部ドアからギリギリの距離に立っていました。
運転手はそれに気づいて客降ろしのときにドアを小さく開けています。
この状況で「助手席側に立っているのに気づかなかった」という主張は通るはずがありません。
主張4も撤回するとの事。
結局のところ、運行管理者は主張をすべて撤回。こちらの指摘に逐一ビデオを確認して「あぁ、確かに・・・」と声が小さくなっていきます。
ビデオで映像が残っているのに、ろくに確認もせずに責任逃れを試みた挙句に全面謝罪って、迂闊にも程があります。
運転者の処分は社内のことなので勝手にやってくれ、と伝えて会話終了。
私見
公道上での事故だから双方に注意義務があった。そこまでは理解しています。
しかし、この3つの事故、何れも後ろから近づいてきたクルマ側の不注意なんですよね。背後からいきなり殴りかかられたようなものです。
これでも被害者側が「自分にも悪いところがあったかもしれない」と考えないといけないのでしょうか?
警察庁とマスコミは「自転車は車道」「車道が安全」とキャンペーンを張っていますが、一番肝心なところを(おそらく意図的に)隠しています。
自転車が歩道を走っていればクルマとの事故はほぼ防げます。逆に言えば、歩道走行で事故に遭う人は自業自得な運転をしている場合が殆どです。
これに対し自転車が車道を走る場合、どんなに安全運転をしていても暴走車に出会ってしまえば終わり、なのです。
「車道が安全」キャンペーンは、統計学的な視点から「歩道での<危険>運転」と「車道での<安全>運転」を比較しているのですから、そもそも比べているものがおかしいと思います。
「私は安全運転を心がけています」という個人の視点に立てば、わざわざ危険を冒して狼の群れに飛び込む理由は何一つありません。
自分の命を見ず知らずの不良ドライバーに預けて「車道のほうが安全です!」と言えるヒトがいるのなら、ぜひご意見を伺いたいものです。
まとめ:自転車でクルマ相手の事故に遭った場合
- 事故が起きたその場で免許証を提示させる(逃走防止)
- 殆どのドライバーは「自転車相手の接触は交通事故ではない」と考えている節があります。まず「これは事故、逃げたら罪が重くなる」と認識させる事が最優先です。
- 車を安全な場所に移動させる。ドライバーは乗車させたまま(逆上防止)
- 二重事故を防ぐため安全な場所へ移動しましょう。暴力沙汰を防ぐために、ドライバーは乗車させたまま運転席側の窓を開けさせて話すのがベター
- エンジンを止めさせる(事故防止)
- ドライバーが興奮してアクセルを踏んだりする事もあるようです。不慮の事故や逃亡を防ぐためエンジンは止めさせましょう
- 相手の損害保険加入の有無を聞く(賠償能力の確認)
- 相手方の任意保険の連絡先が分かっていると病院でスムーズです
- 写真をたくさん撮る(証拠保全)
- 事故が起きた直後から写真をたくさん撮っておきましょう。双方の車はもちろん、停車位置、周囲の状況、天気、路面状況などが分かると後の交渉で有利です
- 相手方連絡先を聞く(交渉準備)
- 住所だけでは駄目です。かならず電話番号を聞き、一度コールして繋がる事を確認しましょう。「警察が知っているから聞かなくてもいいや」は間違いです。電話番号は個人情報なので警察は絶対に教えてくれません。
- 必ず病院にいく(治療開始)
- 相手方保険会社と連絡がつけば、事故当日からでも保険会社が支払を担保してくれます(被害者側の負担額ゼロ)。保険会社と連絡がつかない場合は「第三者行為による傷病」と伝えれば被害者が3割支払で済みます(過失割合にもよりますが、3割分は保険で戻ってきます)