6月7日(日) Day 1「Pixar」

入国審査

../images/day1/IMG_1780.jpg 米国への入国は「ESTA(電子渡航認証システム)」が必要です(2009年1月より)。
申請は出発前にWeb上から可能。結果もすぐ出るので、ESTA自体は大して難しくありません。でもきっと入国審査は他の国より厳しいんだろうなあと、ちょっとビクビク。


審査では指紋や顔写真も取られるとの事。顔写真は知らない間に勝手に撮られるので問題ありませんが(無いのか?)、指紋が結構面倒です。5本の指をいっぺんに取れるわけではなく、初めに4本、次に親指。しかも左右どちらから取るかは審査官の指示に従う必要があります。まあ「Left, Right」ぐらいは聞き取れるよね、と思っていたのですが、日本人は結構手こずっている様子・・・大丈夫かな。

いよいよ僕の番。ESTAはパスポートに関連付けられているらしく、何も提示を求められませんでした。顔写真と指紋も難なくクリア。しかし、一安心したところに面倒くさいQ&Aが待っていたのです。
係員いわく「Go quickgen nikka guardes qua?」。何を言っているのか全く聞き取れない・・・さすがネイティブの発音は難しいぜ。渡航前に勉強したことは無駄だったのか?
これに挫けず「Pardon? Could you speak more slowly?」と返してみたのですが、やっぱり審査官の言うことが聞き取れません。さすがに焦ります。
結局、同じセリフを3回も喋ってもらって、ようやく意味が理解できました。彼は日本語で「ごきげん、いかがですか?」と聞いていたのです(笑)。

ガイドブックによると、日本以外のアジア系の人が偽造パスポートで入国することが稀にあるという話です。そこで審査官が日本語で「コンニチハ」などと話しかけて、日本人かどうか見極める事もあるらしい。いや、それなら発音ちゃんと覚えようよ・・・
緊張が一気にほぐれて「I'm fine, thank you. And you?」と、無駄に饒舌に返事してしまいました。
その後は英語で「目的は?」「観光です」「滞在先は?」「SFのホテル・ニッコーです」「他は?」「6日間ずっとそこです」「観光なのに?」「そうです」。という感じ。
カンファレンスの参加と言っても「仕事」じゃないし、かといって「観光」で6日間同じホテルというのは確かに不審ですね。まあ、この辺は雑談みたいなもので、なんとか開放してもらいました。


空港からホテルまでツアーバスで移動

はるばる来たぜSF

IMG_2184 空港からホテルまではツアーバスで移動。サンフランシスコ(SF)は人口密度が高いらしく、丘の上までビッシリと家が建っています。対岸のオークランドは雄大な山脈が連なっているのに、このコントラストは不思議な感じ。
空港から約40分でホテル到着。マーケット通りから2本入ったところで、買い物も移動も便利な場所。
荷物を置いて早速WWDC会場へ出発!

../images/day1/IMG_1788.JPG 会場は「モスコーン・ウェスト」という貸会議場。どのぐらい大きいかは写真を見てもらえば分かると思います。モスコーンは3階建てなのに隣の10階建てマンションより高い。
会場の壁面には大きなアップルマークと iPhone アプリのアイコンたち。写真では何度も見ていた光景が目の前に広がっていて軽いデジャヴ。

../images/day1/IMG_1793.JPG 1階ロビーで参加受付。名前のアルファベットで受付が分かれているんですが、ファーストネームなのかファミリーネームなのか・・・? とりあえず「K」に並んでみたら、自分の名前が印刷された参加証が出てきたから合ってたみたい。
参加証の他には「Tシャツ」と「リュック」がもらえます。いずれも「WWDC2009」のロゴ入り。さすがにこれは着られないよなあ・・と思っていたのですが、かなりの人が誇らしげに着ています。見知らぬ人とペアルックになって楽しいのか?
中には、「WWDC2000」など、以前もらったリュックを持っている人もいて「俺は昔から来てるんだぜ」という自己主張なんでしょうかね? さすが世界でトップクラスのギークたち。やることが一味違います。


ホテルからWWDC会場までは徒歩10分

ペーパーレス

App001 App002 会場はペーパーレスが徹底しています。なんと、開催スケジュールすらもらえません。参加者がどうやって日程を知るかというと、 iPhone 用のスケジュールアプリケーションが配布されているのです。
アプリではすべての日程が閲覧可能で、聴講予定の講演にマークを付けることができます。マーク済みの物は「Favorites」から一覧を見る事が出来て、それが「マイ・スケジュール」になるという仕組み。
主催者からの当日の案内事項すら、このアプリケーションで流れてきます。
ちなみに、iPhone が無い人はWeb上のADCページから、似たような「マイ・スケジュール」を作ることができます。驚いた事に、Web上のスケジュールは iPhone アプリと同期されるという徹底ぶり。
日本の研究会だと「貰わないと損」とばかりにパンフやらスケジュールやら観光案内などなどを渡されるのとえらい違い。

夢の続き

こうして、本日の仕事は終わり。SFの日没は20:30なので、あと6時間は自由時間です。

../images/day1/IMG_1817.jpg まずは湾を渡ってオークランドへ。CGアニメーションで有名なピクサー本社を「見物」です。(中に入れないので「見学」じゃないよな・・・)
対岸へは地下鉄(BART:Bay Area Rapid Transit)を使うのですが、チケットの買い方が分からない・・・駅員がどこにいるかも分からない・・・
仕方ないので観光客っぽい親子連れに聞くと、親切にも「何ドルのチケットが欲しいんだい?」と操作方法を教えてくれました。
日本だと目的地までの値段ぴったりのチケットが買えますが、BARTではいわゆるプリペイドカードしか無いみたい。目的地まで$1.50だったら、それ以上の金額をデポジットしておくという事のようです。
地図をダウンロードして行くのを忘れたので、駅から20分のところを1時間かかってしまいました・・・それでもなんとかピクサー社に到着。
写真やビデオで何度も見た、あのアーチが掛かっています・・・うん、ついに来たんだなあ。

../images/day1/IMG_1802.jpg ピクサーのことを初めて知ったのは1995年(ここから思い出話)。世界で最初の劇場用長編CGアニメーション「トイ・ストーリー」が公開されたときです。
それまでのCGは「添え物」に過ぎず、「アビス」(1989)の液体生命の表現で一瞬だけ出てきたり、「ターミネーター2」(1991)で液体金属のターミネーターが変形するシーンに使われるなどでした。
それが、80分全てフォトリアルなCGを動かすというのですから、大きく期待が膨らみます。
実際に見てみると「これぞ映画の革命だ!」と叫びたくなるほどの素晴らしさ。
「CGの質感はオモチャっぽい」という欠点を逆手にとってオモチャを主人公に据えたアイディア。手書きアニメーションでは難しかった奥行き方向の動きを多用したアクションなど、「世界初」であるが故に「俺たちが道を作るんだ」という気概にあふれていました。

それ以来、すっかりCGにハマってしまった僕は、道を踏み外して独学でCGの勉強を開始。宇宙物理のエキスパートになるはずが、いつの間にかデジカメの会社に入っていたのでした。まあ、人生ってそういうものだよね。 "La-la how the life goes on."
(思い出話ここまで)
../images/day1/IMG_1811.jpg 1 そんなわけで、このピクサーのエントランスは、僕の人生を変えた金字塔でもあるのです(いや、ホントに)。
中には入れませんが、記念にアーチにタッチ。いつかちゃんと、中の人とお話しできるようになって戻って来たいものです。


BARTでピクサーまで。乗り間違えて遠回りしてしまいました

「UP 3D」

../images/day1/IMG_1818.jpg 1 BARTに乗ってSFに戻り、ホテル近くの映画館へ。ピクサーの新作「UP」を鑑賞。インターネットのおかげで映画館の場所も、上映時間も、鑑賞料金も下調べ済み。つくづく便利な時代です。
ピクサーといえば、ディズニー傘下になったのが記憶に新しいところ。資金面の不安はなくなったのですが、制作ペースをアップさせられてしまいました。
以前は1年半に1本の公開ペースだったものが、最近は年に1本。これでクオリティが保てるのか? という心配の声がファンの間から上がっています。しかも、これから公開されるのは「トイ・ストーリ3」「カーズ2」といった続編。ピクサーは資本家に魂を売ってしまったのか!?
結論から言えばそんな心配は微塵もありませんでした。
「UP」は遊び心がいっぱいの楽しい映画。冒頭のカールじいさんの話に涙腺が緩み。たたみかけるように航空アクションへ。そして、「人生は冒険だ!」とばかりに登場人物それぞれが自分の道を見つけ出すエンディングまで、一気に話は進んでいきます。
「レミー」「ウォーリー」も大好きな作品ですが、本作は人間が主人公だし、ビジュアルも可愛くできているので、日本ではそれ以上のヒットが見込めるかも。いまからクリスマスシーズンが楽しみ。

../images/day1/IMG_1824.jpg ホテルに戻ると21:30。日本時間に直すと6月8日(月)の13:30。札幌を出てから30時間以上も活動しっぱなしです。さすがに疲労困憊。
明日は基調講演があるため、朝5時には起床予定。長い一日が終わり、長い一週間が始まります。