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Day 2

6月14日 「ハイドパーク」

003  イギリスの食事は不味いと聞いていましたが、ホテルの朝食はまあまあ。
 レストラン入り口で「コンチネンタルと普通の食事、どっちにするのか?」と聞かれたんだけど、「コンチネンタル」が分からない。ちょっと困った顔をすると、すかさず日本語を書いた紙が出てきて「暖かい食事は2ポンド追加になります」との事。イギリスらしからぬ親切さに、ちょっと苦笑い。
 出発までかなり時間があるのでハイドパークを見て回る。王様の狩猟場だったものが17世紀に開放されたものとか。
 北大と同じぐらいの広さだけど、建物が殆どないので更に広く感じる。あちこちにピーターラビットみたいに小さいウサギがいたり、リスが走り回っていたり、街の真ん中に野生動物ってあたりが歴史の重みを感じさせます。まあ、札幌も、キタキツネやシカが出たりするので、ある意味近いものがありますが。
 ここは故ダイアナ妃ゆかりの場所だそうで、地図を見ると「ダイアナ・ウォーク」という小径があるようです。看板が無いので正確な経路が分からなかったんですが、たぶん合ってると思います。
 公園入り口の看板は各国後対応で、日本語の説明もあったので再び苦笑い。

「ウェールズへ」

004  今回の旅の最大の目的地「ポートミリオン」に向かうため、12:00にユーストン駅を出発。ユーストン〜バーミンガムNew St.〜マカンスレス〜ミンフォースと、乗り継ぎ2回、行程6時間の長旅です。
 ロンドンを出るとすぐ田園地帯。菜の花畑やポプラ並木など、どことなく富良野に似た景色なんだけど、それが何時間走っても続くのが凄い。
 電車が空いていたせいもあるのでしょうが、席を占領して寝てる人も多数。女性の一人客がグースカ寝てたってことは、かなり治安がいいのでしょう。

楽しい旅気分もつかの間、列車が徐行気味で、予定時間を過ぎても乗換駅に到着しない。「イギリスの列車は遅れて当たり前、しかも乗り換え列車は待ってくれない」という話を聞いていたので焦りまくり。ウェールズ行きの列車は本数が少なくて、ここで逃すと現地到着が午後10時を回ってしまうのです。
 結局、列車は50分も遅れて乗換駅のバーミンガム New St.に到着となりました。乗り換えに40分の余裕を見込んでいたのに、完全にアウトです・・・・これは困った。
map
 かなり暗い面持ちで駅の発着案内を見に行くと、出発時間の他に"Expected"、つまり出発「予定」時間が併記してありました。それによると、乗り換え予定だった列車も遅れていて、あと2分後に発車予定との事。
 慌てて該当フォームに行き、周りの乗客に「この列車はマカンスレスで停車するか?」と聞くと、自信たっぷりに"Yes"との返事。完全に乗り遅れたものと思っていたので、体中の力が抜けるかのような安堵感でした。
 バーミンガムを過ぎると、ウェールズの丘陵地帯。「ウェールズには山がない、丘ばっかりだ」という話がありますが、ホントに丘ばっかりです。

 せっかく乗り継いだ列車もなんだか微妙な徐行運転。あっというまに30分の遅れが生じてしまいました。次の乗換は単線のローカル駅なので、いくらイギリスでも待ってくれるはず。この電車と連絡しないと、乗客なんて殆どゼロのはずだから。
 それでも、念のためと思って車掌さんに「ミンフォース行きの乗り換え電車は待っててくれるよね?」と質問してみると「君は乗る車両を間違えている」という恐ろしいお返事。ビックリして聞き直すと、この電車は乗換駅で "divide" するのだそうです。マカンスレスから路線が二つに分かれていて、今乗っている列車の後方2両が北行き、前方2両が南行きになるのだとか。
 乗っていたのが前方車両だったため、慌てて後方車両へ移動。いや、危なかった。
 これでもう乗り換えは終了、黙っていても目的地に到着するはず・・・と思っていたら、先ほどの車掌さんがやってきて、「申し訳ないが前方車両に乗り換えてくれ」との事。あまりにダイヤが遅れているので、後方2車両は折り返し運転に回して、全員に前方車両に移ってもらっているようです。
 北行きと南行きの乗客を同じ車両に乗せてどうするんだ? と思っていると、マカンスレスの次の駅で別の乗り換え車両が待っているんだとか。

005  マカンスレスでの車両切り離しはホンの2〜3分で大きな揺れも無し、もし車掌さんに聞かなかったら、切り離しがあった事すら気づかなかったかも。ちょっと冷や汗。
 マカンスレスの次の駅ではちゃんと乗り換え車両が止まっていて、最後の乗り換え。ここは遠浅の湾になっていて、ちょっと不思議な光景。先ほどまで乗っていた車両が南に向かうのが見えています。
 ここからは海沿いのリゾート地。あちこちに古城やら別荘やらが見えていて実に美しい。
006  この路線では少し遅れをとりもどして、(たったの)20分遅れで目的の駅に到着。ホテルに迎えの車を頼んでいたのですが、ちゃんと待っててくれて一安心。「遅れて申し訳ない」と言うと「君のせいじゃないよ、列車が悪いんだ。それに遅れるなんてしょっちゅうだよ」との返事。さすがに慣れていらっしゃる。
 2km弱の道をガタゴトと通り抜け、ついにポートミリオンに到着。かくして、20年近くも憧れていた「村」の住民になることが出来たのでした。


「ポートミリオン」

005  村に着いたのは午後7時だけど、サマータイムと高緯度のせいで、真昼のように明るい。(右の写真は午後7時10分撮影)
 ホテル本館まで夕食に行くと、フロントで「飲み物はいかがですか」と聞いてくる。てっきり食事中に飲むものを注文するのかと思うと、その場で大ジョッキがドーン。どうやら、ビールを飲みながら、ロビーでゆっくりとメニューを見てくれという事のようです。さすがリゾートホテル。
 ゆったりとした気分でメニューを開くと、うーん、さっぱり判らない。ウェールズ地方では公用語としてウェールズ語を使う事になっていて、駅の案内も道路の看板も、すべて2つの言葉で書かれているのですが、メニューまでウェールズ語併記。しかも、ウェールズ語と英語は同じアルファベットを使うのが更に紛らわしい。例えば "Welcome" は "Croeso" だし、"Opening Times" は "Oriau Agor" という具合。
 苦労してメニューを解読すると、最後のページに「2コース**ポンド、3コース**ポンド」との表記が。「なんで1コースは頼めないんだろ?」と悩む事数分、しかたなくウェイターに聞くと、前菜で1コース、メインディッシュで1コース。沢山食べたい人はメインディッシュを2つ頼むから合わせて3コース、との事。ただの勉強不足でした。
 食事が終わると村の散歩、もうすぐ夏至なので果てしなく日が長くて、午後10時になってようやく夕暮れ。写真を撮りまくってポートミリオンの夜は更けたのでした。


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