楽しい旅気分もつかの間、列車が徐行気味で、予定時間を過ぎても乗換駅に到着しない。「イギリスの列車は遅れて当たり前、しかも乗り換え列車は待ってくれない」という話を聞いていたので焦りまくり。ウェールズ行きの列車は本数が少なくて、ここで逃すと現地到着が午後10時を回ってしまうのです。
結局、列車は50分も遅れて乗換駅のバーミンガム New St.に到着となりました。乗り換えに40分の余裕を見込んでいたのに、完全にアウトです・・・・これは困った。
かなり暗い面持ちで駅の発着案内を見に行くと、出発時間の他に"Expected"、つまり出発「予定」時間が併記してありました。それによると、乗り換え予定だった列車も遅れていて、あと2分後に発車予定との事。
慌てて該当フォームに行き、周りの乗客に「この列車はマカンスレスで停車するか?」と聞くと、自信たっぷりに"Yes"との返事。完全に乗り遅れたものと思っていたので、体中の力が抜けるかのような安堵感でした。
バーミンガムを過ぎると、ウェールズの丘陵地帯。「ウェールズには山がない、丘ばっかりだ」という話がありますが、ホントに丘ばっかりです。
せっかく乗り継いだ列車もなんだか微妙な徐行運転。あっというまに30分の遅れが生じてしまいました。次の乗換は単線のローカル駅なので、いくらイギリスでも待ってくれるはず。この電車と連絡しないと、乗客なんて殆どゼロのはずだから。
それでも、念のためと思って車掌さんに「ミンフォース行きの乗り換え電車は待っててくれるよね?」と質問してみると「君は乗る車両を間違えている」という恐ろしいお返事。ビックリして聞き直すと、この電車は乗換駅で "divide" するのだそうです。マカンスレスから路線が二つに分かれていて、今乗っている列車の後方2両が北行き、前方2両が南行きになるのだとか。
乗っていたのが前方車両だったため、慌てて後方車両へ移動。いや、危なかった。
これでもう乗り換えは終了、黙っていても目的地に到着するはず・・・と思っていたら、先ほどの車掌さんがやってきて、「申し訳ないが前方車両に乗り換えてくれ」との事。あまりにダイヤが遅れているので、後方2車両は折り返し運転に回して、全員に前方車両に移ってもらっているようです。
北行きと南行きの乗客を同じ車両に乗せてどうするんだ? と思っていると、マカンスレスの次の駅で別の乗り換え車両が待っているんだとか。
マカンスレスでの車両切り離しはホンの2〜3分で大きな揺れも無し、もし車掌さんに聞かなかったら、切り離しがあった事すら気づかなかったかも。ちょっと冷や汗。
マカンスレスの次の駅ではちゃんと乗り換え車両が止まっていて、最後の乗り換え。ここは遠浅の湾になっていて、ちょっと不思議な光景。先ほどまで乗っていた車両が南に向かうのが見えています。
ここからは海沿いのリゾート地。あちこちに古城やら別荘やらが見えていて実に美しい。
この路線では少し遅れをとりもどして、(たったの)20分遅れで目的の駅に到着。ホテルに迎えの車を頼んでいたのですが、ちゃんと待っててくれて一安心。「遅れて申し訳ない」と言うと「君のせいじゃないよ、列車が悪いんだ。それに遅れるなんてしょっちゅうだよ」との返事。さすがに慣れていらっしゃる。
2km弱の道をガタゴトと通り抜け、ついにポートミリオンに到着。かくして、20年近くも憧れていた「村」の住民になることが出来たのでした。