8月19日(火) Day4 「グリンデルワルト・ユングフラウ」

シンドラーのリフト

IMGP1171.JPG 日本で「シンドラー社製エレベーター」はあまり良い印象を持たれていないようですが、スイスでは超一流企業扱いです。エレベーター・エスカレーターは殆どシンドラー製ではないかと思われるほどの普及率。
普通のビルでシンドラーに乗る分には特に変わったことはなかったのですが、今回宿泊した MIRABEAU のエレベータには驚きました。

まず日本のエレベータをおさらい。扉は引き戸(横スライド)で自動開閉。更に、人が乗って上下する部分(箱)と各階に扉があるという二重構造です。この構造が当たり前すぎて「それ以外」を想像しにくいのですが、シンドラーはやってくれます。そこにシビれる!憧れるゥ!

MIRABEAU のエレベータは「開き戸(手前に開けるタイプ、ドア)」でした。開き戸なので開閉はもちろん「手動」です(開き戸で自動だと人にぶつかる)。これだけで大きなカルチャーショック。
更に、人が乗る「箱」部分には扉が付いていません。つまり、エレベータが昇降すると、入口だった箇所の壁が上下に動くのです。「窓から手を出さないでください」どころの騒ぎではなくて、密室なのに壁の一面が動いているという不思議空間。
さて、エレベータの扉が手動だと、あれこれ怖いことを想像してしまいます。たとえば「箱が1階にあるときに5階で扉を開けるとどうなるの?」と心配になりますが、さすがにその辺は大丈夫です。扉は自動でロックされる仕組みになっていて、ボタンを押さないと開きません。さらにボタンは「エレベータがその階に居て、かつ静止している」状態でないと反応しないという仕組み。とっても安心ですね(笑)

最初に乗ったとき、ホテルのボーイがサクサクと開閉していたのでそれほど疑問に思わなかったのですが、自分一人で乗ると「開けても良い・・んだよね?」とドキドキ。 この面白さは乗ってみないと分かりにくいと思いますが、ツェルマットに行くことがあったら確かめてください。


エレベータの構造【模式図】

さらばツェルマット

IMG_0305.JPG 今回ツェルマットを2泊にしたのは、確実にマッターホルンを見るためでした。
この付近は天候が崩れ易いので晴天のマッターホルンを見ようと思ったら3日ぐらい余裕を見た方がよい、という知人のアドバイスに従ったのです。
初日、2日目と見事な写真日和だったので、ツェルマットでの目的はクリア。
朝一番で次の目的地、グリンデルワルトに向かう事にしました。

マウント富士号

ツェルマット駅のホームに行くと妙に親近感のある列車が止まっていました。列車には詳しくないのに何故こんなに親近感が湧くのだろうと近づくと、車体に「マウント富士号」の文字。意外な所で日本語に出会ったのでした。
Wikipediaによるとこの車体は1980年代に開発された電気機関車で、沿線の都市や山の名前が付けられているそうです。 ツェルマット路線は日本の富士急行と姉妹鉄道になっているので「マウント富士号」にしたとのこと。なるほど。

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マウント富士号の写真

長くて短い旅

ツェルマットからグリンデルワルトは乗り換え3回、3時間、約130Kmの旅です。
3時間というと大変な気もしますが、それぞれ1時間程度しか乗らないし、駅の案内も分かり易く、列車の接続もスムーズなので全く苦になりません。さすがは鉄道王国。
さらに、列車の運行がとても正確なので、イギリスのように「目の前の列車は本当に自分が乗る予定のものか?」などと悩む必要もない。
唯一の例外として、シュピーツで乗る予定の列車が「1分」ほど遅れて到着しました。「ホームを間違えたか?」と一瞬心配になってしまいましたが、逆にいえばそれほど信頼性が高いという事です。

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07:39-08:47、ツェルマット→フィスプ/R222/スイスパス
08:57-09:24、フィスプ→シュピーツ/IC819/スイスパス
09:32-09:57、シュピーツ→インターラーケン/IC961/スイスパス
10:05-10:39、インターラーケン→グリンデルワルト/R251/スイスパス
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グリンデルワルト(Grindelwald)

IMGP1328.JPG 午前中にはグリンデルワルトに到着。この地方でも有数のアルペンリゾートだとか。
日本で言うと清里とか白馬の感じでしょうか。他の乗客のウキウキ気分が伝染してきそうないきおいです。
ホームの真横にあるホテル”Derby Grindelwald"に3連泊。
ホテルに荷物を預け、ヨーロッパ最高地点にある駅「ユングフラウヨッホ駅」(3454m)に向けて出発!

乗車券を買う

IMG_0348.JPG 先ずはグリンデルワルトの「日本語観光案内所」へ。ここでユングフラウ一帯が3日間乗り放題になる「ユングフラウパス」を購入します。
というのもグリンデルワルト一帯(ベルナー・オーバーラント)の登山列車はスイスパスの対象外。しかもユングフラウヨッホへ行く列車料金がものすごく高くて、通常料金だと1往復で1万円もします。
いくら物価の高いスイスでもこの料金は驚き。あまりに高いので何かの間違いじゃないかと気にする人が多いらしく、わざわざ日本語で料金表示をしているほどです。
幸い、外国人旅行客向けにパスが発行されていて、3日で1万5千円とリーズナブル。本来なら日本国内で買っておかないといけないのですが、スイス国内で唯一、このグリンデルワルト日本語観光案内所では予約なしの現金購入が可能です(マメ知識)。

ユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)

異文化コミュニケーション

パスを手にしていざヴェンゲンアルプ鉄道に乗車。列車はどんどん高度を上げて、グリンデルワルトの街がミニチュアの風景のように見えます。
隣に座っていたインド人が気さくな方で、あれこれ話しかけて来てくれます。天気の話題になったので iPhone を取り出して今の気温とここ数日の天気を見せると、ものすごく驚いた様子。これだけ売れていても、iPhone という機械そのものを知らない人が結構いるんですね。世界は広いです(そういう問題かどうかはともかく)。
次に「インドの天気を見せてくれ」と言われて、会話の難易度がアップ。国際ローミングに対応しているので、その場で天気を出すことも可能ですが、切り替えに時間と料金がかかるのであまりやりたくない・・・そもそも、そんな難しいことを英語で言えない・・・。仕方ないので「列車の中では Wi-Fi の電波が拾えないから無理」と微妙な嘘をついて乗り切ってしまいました。

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クライネ・シャイデック駅

そうこうするうちに途中駅の「クライネ・シャイデック」へ。ここはグリンデルワルト側とラウターブルンネン側から列車が来る合流地点で、下りハイキングのベースにもなっています。それだけにホテル、喫茶店、レストランと、山の中腹(2061m)とは思えないほどの設備の充実ぶり。

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クライネ・シャイデック駅周辺。どこまでも広がる山脈と草原

ユングフラウヨッホ駅

IMG_0391.JPGお昼時で空腹になってきましたが、天気がものすごく良かったので食事を取らずに山頂を目指します。この選択が半分正解、半分不正解だったと気付くのはもう少し後のこと。

ここからはユングフラウ鉄道に乗り換えます。産業革命の進展による鉄道旅行ブームを受けて、1912年に開通したそうです。
路線長9.3km、標高差1400mのほとんどが岩肌をくり抜いたトンネルの中というからすさまじい。

トンネルの中で停車したので何事かと思ったら、展望台があるようです。アイガー北壁に穴を開けただけのワイルドな覗き穴。今なら環境問題で絶対無理な感じですが、100年前は許されたんですね。時代だ。
道中は1時間ほど、真っ暗なトンネルでは景色も変わらず、ウトウトしてたらあっという間に山頂に着きました。

トップ・オブ・ヨーロッパ

山頂駅のユングフラウヨッホはトンネルの中。ここからエレベーターに乗り、「スフィンクス展望台」に到着です。
一昨日訪れたクライン・マッターホルン駅は「公共交通機関(ロープウェー)で行けるヨーロッパ最高地点」、ユングフラウヨッホ駅は「鉄道で行けるヨーロッパ最高地点」です。念の為。

ここは三角にとがった岩の上に、無理やり梁を付けて展望台にしたような構造です。身近な物で例えると、シャンプーハットを被った人の頭が岩、シャンプーハットが展望台だと思って下さい。
更に、床は網目の鉄板になっていて、その下は100mほど何もありません・・・怖い・・・でも絶景・・・

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スフィンクス展望台の風景

ホテルに戻る

例によって高山性の頭痛が始まり体調は最悪、しかし景色は最高というジレンマに。それでも頑張ってインターバルとか魚眼とか撮影は怠りません。たっぷり撮影して、クライネ・シャイデック駅まで戻って来たのでした。
駅で遅い昼食を取っていると、みるみる天気が崩れて行きます。あと2時間おそかったら山頂は雲の中だったかも。食事を取らずに行ったせいで体調は最悪でしたが、晴れてる間に山頂に行けたのはラッキー。
ホテルに戻って30分もすると、滝のような雨が降り始めました。夜の外出は諦めて早めの店じまいです。

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11:17-11:50、グリンデルワルト→クライネ・シャイデック/ヴェンゲンアルプ鉄道
12:00-12:52、クライネ・シャイデック→ユングフラウヨッホ/ユングフラウ鉄道
14:00-14:50、ユングフラウヨッホ→クライネ・シャイデック/ユングフラウ鉄道
16:03-16:42、クライネ・シャイデック→グリンデルワルト/ヴェンゲンアルプ鉄道
ユングフラウパス、15000円
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