マイリンゲン(Meiringen)
雨は上がったけれど今日は一日曇りになりそう。
雄大な光景は諦めて、町並みを楽しめる場所を選んでみました。
腹ごしらえをして「マイリンゲン」に出発。
日本人に出会う
先ずはベルナーオーバーラント鉄道でインターラーケンに向かいます。
乗り換え列車を待っていると日本語の会話が聞こえてきました。どうやらブリエンツ・ロートホルン鉄道の蒸気機関車に行きたいけれど、どのホームから乗ればいいか分からない様子。
僕と同じ方面なので教えてあげました。これで道中の会話も弾むかなと思ったら、彼らは2等限定のチケット、僕は1等なので同じ列車の別の車両なのでした。
よく考えたら1等のチケットで2等に乗ればよかったのですが、頭が回らなかった…
メレンゲ/マイリンゲン
インターラーケンから約30分でマイリンゲン到着。
ここでの目的地は「シャーロック・ホームズ終焉の地=ライヘンバッハの滝」です。
ホームズは19〜20世紀に活躍したイギリス人。大悪党モリアーティの手から逃れるため1891年にスイスを訪れています。
町から少し離れたライヘンバッハでモリアーティに追いつかれ、二人だけで最後の決闘が行われたのです(「最後の事件」)。
ロンドンのホームズ博物館を見た身としては、ぜひとも訪れておきたい聖地の一つ。
ホームズとは関係ありませんが、マイリンゲンは食材の「メレンゲ」の語源だとされています。
ホームズ先生
駅に着いたはいいけれど、あまり下調べせずに来たので右も左も分からない。
駅前の観光案内所らしき所で道を教えてもらってしばらく東に進むと、ありました、シャーロック・ホームズ像です。
三脚とタイマーをセットし、ホームズと同じポーズで記念撮影。バスを待っていた人から生暖かい目で見られましたが気にしない。
像の横にはホームズ博物館があるのですが、午後1時半にならないと開館しないとのこと。まだ4時間もあります。
仕方ないので先にライヘンバッハの滝へ行く事にします。徒歩だと20分ぐらいかかりますが、きれいな町並みなので飽きません。
ライヘンバッハの滝(Reichenbachfall)
ケーブルカーのヴィリゲン駅に到着。
ライヘンバッハの滝まではケーブルカーで登るのですが、これがものすごく小さい。日本のデパートの屋上にあるオモチャの列車みたいです。
この列車に揺られること10分。ようやくライヘンバッハの滝に到着。駅にはホームズ関連の写真がたくさん貼られています。そして驚いたのが、ホームズの「顔出し看板」。どこかの悪い日本人が持ち込んだのでなければ良いのですが(笑)・・・
滝も見られたし、これで帰るかと思いきや、展望台に妙なものが見えます。作りは望遠鏡みたいだけど、中空の筒が斜めに固定されているだけ。
いったい何だ? と思いながら覗いてみると、その先には白い「☆」マークがありました。
解説文によれば、星マークの場所こそが、ホームズとモリアーティが決闘した場所なんだとか。これは行かねば。
星は川の対岸にあり、直線距離だと100mもありません。しかし徒歩で訪れるには延々と遠回りする必要があり、1時間もかかってしまいました。
憧れの聖地にて、ホームズが「伝言」を置いた場所とか、よじ登った壁とか、闘った足場とか、ねちっこく見物。
サー・アーサー・コナン・ドイルは100年前にここで着想を得たのでしょうか? なんか感慨深かったです。
帰りもまたテクテクと1時間歩き、オモチャのようなケーブルカーで下山。
博物館が開くまで時間があるので、パン屋さんのイートインで昼食。
ミッションクリア(2 of 3)
次に目指すはホームズ博物館です。
13:45頃に行くと「開館」の看板が出ていました。"OPEN","OUVERT"などの外国語表記に混じって漢字で「開館」と書いてあるのです。
狭い空間内にロンドンのホームズの部屋が再現されています。以前ロンドンのベーカー街で撮った写真と見比べると、壁の模様とか配置が大分違っています。シャーロキアンなら、上手く辻褄を合わせてくれるでしょう。
スイスとイギリス、両方のホームズ博物館を見るという、20年来の夢がようやく叶いました。
ラウターブルンネン(Lauterbrunnen)
日没にはまだまだ時間があるので、次の目的地を目指してベルナーオーバーラントに戻ります。
先ずは谷底の町「ラウターブルンネン」を訪れました。
ここは氷河によって削られたU字谷の地形で、西側には切り立った崖に、東側にはメンリッヘンの丘に囲まれています。アニメ「天空の城ラピュタ」に出てくるパズーの町のようです。 ここでの目的地はシュタウフバッハ滝。落差300mはヨーロッパでも最大級とか。東京タワーの天辺から放水している様なものでしょうか。いやはや、凄い眺めですね。
ミューレン(Mürren)
谷底の町を見た後は、谷の上の村「ミューレン」へ。
ミューレンは調べれば調べるほどすごい村です。
この村へは道路が通じておらず、鉄道かロープウェーでしか訪れることができません。村民450人に対して宿泊設備は2000人収容可能というから、いかに観光客が多いか分かります。そして何よりすごいのが、この村が崖の上にあるという事でしょう。
一言で「崖」と言っても、これがもうシャレにならない断崖絶壁。
Google Earthの画像を見て分かるように垂直に切り立った崖のすぐ横に村が作られています。なんて恐ろしい光景。
果たしてどんな光景が展開しているのかと期待していたのですが、村の中はいたって普通の景色です。
回りを山に囲まれているので、崖の上にいるという事が風景からは分かりません。
「崖のあたりはどうなっているんだろう?」と村中探しましたが、どう歩いても崖に辿り着かない。どうやら崖と民家の間には無人の緩衝地帯があり、人が容易に近づけない構造になっていたようです。安心したような、ガッカリしたような。
天と地と
霧で景色が悪くなってきたので下山することに。来た道を戻ってもよいのですが、難易度の高い別ルートで降りることにしました。
先ずはロープウェー。発車直後は草原の上を運航していたのですが、崖の際をすぎると突然草原が消え、地上100m程の空中になってしまいました。車内の観光客からは「ヒュー」とも「ワォ」ともつかない叫喚の声が。
こんな高度のあるロープウェーは日本ではお目にかかれません。ミューレンに行くことがあればぜひ乗ってみて下さい。
下りロープウェーの景色。草原を抜けると急に視界が開ける。
コンニチハ
ロープウェーから先の交通手段はバスしかありません。時刻表を見ると次のバスまで1時間ほどある様子。特に見るところもないのでバス停で読書。
ふと見ると、インド人のお子さんがじっとこちらを見ています。日本人(というかアジア人)が珍しいのでしょうか。親子3人で旅行中の様ですが、両親は疲れ切って相手してもらえない様子。
暇なのでカードを消すマジックを見せたところ、目をキラキラ輝かせて寄ってきました。少女にせがまれるまま、10円玉を消したり、親指を消したり、いつもの奴を見せたあとで、「日本人?」「どこ行くの?」と会話。
相手は小学校入学前ぐらいなので語彙も限られているですが、やはり生の会話は難しい。半分ぐらいは笑ってごまかしてしまいました。もっと勉強しないとね。
ちなみに少女のお父さんは僅かに日本語が分かるらしく「コンニチハ」と挨拶してくれました。
チーズフォンデュ
ラウターブルンネンから1時間ほど列車に揺られ、ようやくホテルに帰還です。
なんだかお祭りっぽい音が聞こえてくるので、グリンデルワルトの町をブラブラ。屋台が出ていたり踊りを披露したりと実に賑やか。
ミッションコンプリート(3 of 3)
通りのレストランで「チーズフォンデュ」を探し、ようやく一人分でも提供してくれるお店を発見。オープンテラスでちょっと寒いですが、フォンデュだから大丈夫(根拠のない自信)。
テーブルに並べられたのは、チーズが入った鍋とパンとジャガイモ。ここまでは北海道で食べたのと同じです。一口食べると、コクがあって実に味わい深い。さすが本場と感心しました。
しかし、食べ進めると口の中に苦い味が広がります。何だろう? と記憶をたどると、赤ワインの味です。聞くところによるとスイスではワインをたっぷり入れるのが普通で、食べ終わったら酔っぱらってしまう程なんだとか。
本場チーズフォンデュを食べたので、スイスに来た目的は3つともクリア!
ここでは特に会話もせず、食事だけを楽しんでホテルに戻りました。
準備不足で行き当たりばったりの割には、充実した一日。