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ミクミクにしてやんよ

今年も市民雪像を作ることになりました。西6丁目11番「Owl love」。名前の通りフクロウを作ります。
近くの方、ぜひお立ち寄りください。遠くの方、LCCだと安いですよ。

そんな訳で市民雪像の講習会に参加してきました。
実際に雪を削る前に粘土模型を作り安全性をチェックするという、主催者開催のお硬い集まり。
皆さんはもう忘れていると思いますが、昨年は「初音ミク事件」が起きまして、今年から雪像作りのレギュレーションが変更されることになってしまいました。

初音ミク事件とは、初音ミクの雪像が会期中に倒壊し、落ちた雪の塊で通行人一名が怪我をしたというもの。
滑って転ぶ人は毎年いるものの、雪像が直接事故の原因となったのは雪まつり史上初めて。しかも全世界的バーチャルアイドル初音ミクの「首」が転がり落ちたという話題性から、「日本では雪だるまが壊れたらニュースになるらしいぞ」など、面白おかしく報道されてしまいました。

これを受けて実行委員会もかなり苦労したようです。
これまで雪像の事前講習会は任意参加だったのに、今年から参加義務に変わってしまいました。
市民雪像も通路から離して設置するようです。
きちんと責任を認めて、原因究明→対策という流れは理解しますが、「市民雪像を厳しくするのは筋違い」というのが僕の意見です。

そもそも雪まつりりの雪像には、「大雪像」(自衛隊が作る10m越えのもの)、市民雪像(市民が思い思いに作る2m立方のもの)、国際雪像(海外から招待した専門家が作る3m立方のもの)、企業雪像(企業が宣伝のために作るもの、大きさは任意)など、様々な種類があります。
事故を起こした初音ミクは「企業雪像」であり、市民雪像とは異なるレギュレーションで作られています。(大きさ、文字の使用可否、デザインの制約など)

倒壊したミクは僕のグループの3つ隣だったので、制作過程は近くで見ていました。
大きい頭部の割に首が細く、特徴的なツインテールも再現しており、見るからに危うげなデザイン。
当初はレリーフのように削っていたので変だとは思いませんでしたが、何時の間にか中刳りされて足で自立する構造になっていました。
しかも、心棒も入っていなかったとの事。まあ、壊れてアタリマエです。

これが市民雪像だったら、設計段階で却下されていたと思うんですよね。
おそらく「造形のプロだから」「バランスも考えて」「凝結作業もする」という説明のもとに許可されたのでしょう。
結果として倒壊してしまったのだから、造形がどうのというより「レギュレーションは大事ですね」という話にしかならないと思います。

そして今年。蓋を開けると「市民雪像のレギュレーション強化」という話になっちゃってるんですよね。いくら何でもその理屈はおかしい。
どれぐらいおかしいかというと、F1でレースカーが事故を起こした事を理由に、日本の一般道の制限速度が厳しくなる、ぐらいの話なんですよ。

そのレギュレーションも、安全強化の為に意味がある内容なら受け入れます。
ところが、発表された変更は「台座の位置は変更せず、台座に乗った雪像を50cm後退させる」という不思議なもの。
雪像が転がり落ちるという事態に50cmのマージン増が有効とは思えません。
しかもこの変更で、雪像の背面のキャットウォークがなくなり、作るときに少し危険が増してしまったのです。
観光客の安全は大事だけど、作る人の事も考えようよ? という感じ。

まあ、これは誰が悪いという話ではなく、市民と実行委員会が意見を交換しながら落とし所を見つけて行くしかないのでしょうね。

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ビルの町にガオー

所用で東京へ。東京都現代美術館で開催されている「特撮博物館」を見てきました。10月8日まで。

「新世紀エヴァンゲリオン」などで有名な庵野秀明が館長となり、廃れつつある特撮文化を集大成したという意欲的な展示会。
「ウルトラマン」「ゴジラ」などのメジャー作品から、「トリプルファイター」「突撃!ヒューマン」などの「何それ?」作品まで、これでもかというほど小道具が展示されています。
ウルトラマンは昭和41年作品ですが、小道具の完成度は現代の目で見てもまったく遜色ない。ブラウン管の向こうの世界はちゃんと作られていたんだなあと感心しました。

展示物の大半が「個人蔵」となっていて、こういう草の根の努力が文化を守るんだなと思います。しかし、昔は撮影が終わった小道具を個人が持って帰れたりしてたんですね、大らかな時代だ。

本展示の目玉は短編映画「巨神兵 東京に現る」です。
「巨神兵」は宮崎駿のアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する人型最終兵器。これをトクサツの技術で動かして、ミニチュアの東京を焼き払うという凄まじいコラボです。

ものすごく期待していたのですが、実際に見てみると、うーん、イマイチ良さが分からない・・・
伊福部マーチに乗って「ビルの町にガオー」「なぎ倒せっ!」な1960年代ノリを期待していたら、冒頭から林原めぐみのモノローグという1990年代ノリです。「僕たちの日常が壊れていく」系の演出で、世界観に入り込みにくかった。
押井守の映画ならこういう演出もアリなんだろうけど、9分の短編映画でこの方向性はどうなのかなあ。

技術的には腰を抜かすほど素晴らしくて、「これはCG・・・だよね?」と思った箇所が「発泡スチロールでした」「絵具を垂らしてます」だったのは驚き。
昭和中期から受け継がれた「トクサツ」の正しい進化形にして最高峰だと思います。

ちょっと気になったのが場内のレイアウト。
狭い空間を上手く蛇行させているとは思うのですが、所どころ雪隠詰めになっていてどう回ったら良いのか不明な箇所も。
短編ビデオ上映ブースはすぐに人が詰まってしまって歩きにくい。例えば、行列のできる展示(オプチカル合成の説明とか、模型撮影ブース)で行列に並びながらビデオ上映が見れたらいいのに。
全体的に「もーちょっと動線を考えてほしいなあ」という印象でした。

あれこれ書いたけど、昭和のSF少年はぜひ見に行ってください。「科学技術が築く明るい未来」を無条件に信じていたあの頃に戻れます。
ザッと見ただけなのに3時間経過していました。