札幌市内で「自転車走行空間」の社会実験が始まりました。
車道の両端を青くペイントして、自転車に車道を走ってもらおうという試み。
歩道上での自転車と歩行者の接触事故を減らすことが目的です。
警察庁から都道府県警に「自転車レーン設置の検討を開始するように」と通達が出たことが背景にあるようです。
通達を無視する自治体も多い中、札幌は一千万円をかけて1ヶ月間の実験を行うことにしました。
さすがは我らが札幌市。
自転車が車道を走ると違法行為のように睨まれる状況だったので、この軌道修正は歓迎します。
9月中旬から北一条通りのレーン塗装が始まり、ビラが配布されたりキャンペーン隊が街中に立ったりと、かなり本格的な様子がうかがえます。
さて、実験開始から1週間が経過したのですが、個人的には「ダメだコリャ」という印象です(あくまでも個人の感想ですよ~)。
第一に自転車用レーンの構造が危険極まりありません。
西6丁目の地下駐車場出口では
「自転車が路肩から外側線をまたいで車道に出る」
「車道に出た直後に地下駐車場の出口をふさぐように路肩に戻る」
という、木下サーカスもビックリのアクロバティックな誘導ラインが描かれています。
クルマから見ると前方の自転車が突然車道に飛び出してくる形になりますが、日本ではクルマ様は自転車より偉いらしいので、当たり前の様に幅寄せされたり無理な追い越し左折をされたり。
「どうしてこんな危険な構造にしたのか?」と札幌市の道路計画課に電話で聞いたところ「自転車は第1車線も路肩も通行区分である。通行区分間で移動することに問題はない」という返事でした。何を言ってるのか理解できません・・・
その後発行された「概要」では「道路のグレーチング(側溝)をよけるために車道に飛び出す自転車が危険」という報告でした。
悪いのは自分たちの描いた線なのに、あくまでも「グレーチングが原因」という姿勢。行政がこういう表現をするときは、まず表に出せない事情が隠れています。有識者がツッコミを入れたら関係者のクビが何個か飛ぶんだろうなあ。
更に、「左折車のブルーレーン侵入を防ぐため」という名目の「ランブルストリップ」が極悪です。
これは白線上にデコボコを作り、クルマが外側線を踏むと振動がくる加工のこと。
しかしクルマにはあまり効果が無いようで、白線を踏むクルマを多数目撃します。
一方の自転車にとって、このデコボコは致命的。下手に乗り上げると転倒します。
「白線を踏まなければ良いのでは?」と言われそうですが、路駐車を避けるために第1車線に出ると、ランブルストリップを交差しなければ戻れない場面がどうしても出てくるのです。
僕は普段から車道を走り慣れてるつもりなのですが、ここを走るのは全く無理。
事故が起きて当然という場面に何度も遭遇しました。実験概要に従って走ったら確実にあの世行きです。
意地悪でも皮肉でも何でもなく、本当に怖い。これを設計した人は一度でもこの道を走ったのでしょうか?
第二に、路上駐車を排除する意欲が全く見られません。
社会実験の期間中は信号ごとに4人の係員が待機しています。しかし彼らは自転車に対して「車道を走って」とは言うものの、路駐は全く無視しています。
停まらないでという身振りも、駐車車両に対する声掛けも一切ないのです。
ちなみにこの区間、道路の南側は駐車禁止、北側は駐停車禁止です。しかし北側には荷降ろしのトラックが絶えませんし、夜間の南側は客待ちタクシーが大挙しています。
この区間の真ん中に中央警察署があるのですが、タクシーは警察署の目の前で堂々と、ブルーレーンと横断歩道を跨ぐ様に路駐しています。この無法っぷりは何事?
他の自治体では自転車レーン+路駐取り締まりの強化で成果を上げているところもあるというのに、路駐を放置する理由がまったく理解できません。
路駐を放置した自転車用レーンは殺人マシーン以外の何物でもありません。
実験期間はまだ3週間ほど残っているので、関係者の善処を望みたいところです。