秋の恒例行事となった新型iPhone発売の行列に並んできました。
今年の新製品は指紋認証を備えた iPhone 5s と、廉価版でカラフルな iPhone 5c の2種類。
毎年買い換えるのもアレなので今回は見送り・・・と思っていましたが、指紋認証に心惹かれて買うことにしてしまいました。
これまで何度もiPhoneの行列に並んできましたが徹夜は経験ありません。自宅から札幌市中心街が徒歩圏という強みを生かして(?)始発電車直前の参加でした。
しかし今回はキャリア3社が「事前予約は受け付けない」という謎の方針を打ち出したため、様々なうわさが飛び交う事となりました。
曰く「指紋認証の生産が追いつかず、初期出荷数は少ないのではないか」「予約を受け付けたら出荷数が少ないことがバレてしまい、販売スタートダッシュに差し障るから」などというものです。
確かに、同時発売の 5c は予約を受け付けて、 5sだけ受け付けないというのはおかしな話。
これは例年にない熾烈な争奪戦が繰り広げられるのではないかと予想して、初の徹夜行列を決心したのでした。
木曜の仕事が終わり次第並ぼうと思っていたら、某所で懇親会が開催されることに・・・幸い1次会で終了したので猛ダッシュで自宅に帰り、防寒セットを持って行列に並んだのでした。
ストア前に到着したのは21時過ぎ、すでに60人ほどが行列を作っています。アップルストアは大量に入荷するはずですが、100番以内はギリギリかも。出遅れた感が満載ですが、並ぶ以外に選択肢はありません(ええ、ありませんとも)。
この時期の札幌にしては冷え込みも少なく、良く晴れた夜空に満月が輝いているというナイスコンディション。
前後の人たちとトイレ休憩の協定を結んだ後はアップル談義で長い夜をすごします。
お互いのアップル暦を披露して、「SE30に出会った感動」「OS9からOSXの激動の時期」「iPhone発売による携帯電話勢力の塗り替え」などなど、君ら本でも出版しろよと言いたくなるぐらい濃い話が展開されました。
全国のアップルストアはどんな様子かなと調べていると、WWDC2009(サンフランシスコ)で同室だったM氏を思い出しました。彼はiPhoneアプリの開発をしているのでこの手の行列には並んでいるはず。
早速メッセージを送ると「仕事で札幌に来ています」という返事。「ひょっとして並んでる?」と聞くと「三越のライオン前です」という返事・・・・それって僕の真後ろでは?
数歩移動すると懐かしい顔が。実に4年ぶりの再会でした。なんという偶然。
昨今のWWDC事情を話したりと、再びアップルトークに花が咲く。
午前2時頃に就寝し、日の出と共に目覚めました。
この後は例によって6時頃に警備員さんによる行列整理、1列縦隊が3列になります。
6時半ぐらいからマスコミ各社が訪れて取材合戦の開始。
そして7時からは待ちに待った整理券の配布!
ストア店員は山の様にカードを持っているので、60番代ならたぶん大丈夫。
ドキドキしながら待っていると、希望通りにスペースグレイ64GBの整理券がもらえたのでした。これで入手は確定。昨夜21時から10時間の行列が報われました。
ところが、僕の後ろに並んでいた方の表情が少し暗い。聞くと、ゴールド希望だったのに配布終了してしまったのとこと。シルバーにして今日買うか、ゴールド入荷まで待つか、決断を迫られていたのです。
さすがに10時間の行列をナシにはできませんからシルバーに宗旨替えしたとの事。
色々なドラマがありますね。
8時にアップルストアがオープンしても戦いはまだ続きます。
携帯電話の契約は短くても30分ほどかかるので、60人が手続きを終えるには30時間! 受付が10口あるとしても3時間です。
先に並んだ人が高々とiPhone 5sを掲げて帰るのを、少なくとも3時間は指をくわえて見ていないといけないのです。
午前休しか取っていなかったので、遅くとも12時にストアに入れないとアウトです。
しかし、11時を過ぎても僕の前には10人ほど。これは午後休に突入かなと諦めかけていると、「ソフトバンクの方、どうぞ」とストアに案内されてしまいました。あれ、順番は?
iPhoneのキャリアはソフトバンク、AU、ドコモの3社。
このうちソフバンは長年の取り扱いで手際が良くスムーズに契約できているとのこと。AUは通信障害で契約が止まってしまい、ドコモは今年がはじめての取り扱いなので手続きに手間取っているという話でした。
つまり、僕の前に並んでいたのはAUかドコモを希望している人たち。ソフバンに限れば、実は列の先頭近くまで来ていたというオチでした。
契約は滞りなく終了し、12:30に晴れて iPhone 5sのオーナーになれました。期待通り指紋認証が楽しい。
一晩夢を語り合った仲間に別れを告げ、職場へ急いだのでした。
これだけの情報化社会&顧客第一主義の中で「買いたい人は並べ」という方針は如何なものかという声も聞きますが、我々は楽しんで並んでいるのです。
最新の情報機器を入手するのに徹夜で行列するという大いなる矛盾。この美しい無駄こそがホビーの真髄なんですよね。