映画「のび太の大魔境」が絶賛公開中ですが、ドラえもんの最終回はいくつあるかご存知ですか?
調べてみると(ほとんどWikipediaに載ってますが)、沢山ありますねえ。
- 優等生的な答え<ドラえもんはいつまでも続く>
- ドラえもんはループ世界なので、雑誌連載が終わっても彼らは永遠にあの世界で暮らしている・・・のです。
- 便宜的な最終回1「ドラえもん未来へ帰る」
- 1971年掲載。藤子不二夫全集1巻収録
連載開始から1年後に描かれたもの。当時の連載が小学館の「小学四年生」のため、5年生に進級すると読めなくなるという特殊な事情から描かれた。
タイムトラベルの禁止によりドラえもんが現代に留まることができなくなる話。
- 便宜的な最終回2「ドラえもんがいなくなっちゃう?」
- 1972年掲載。藤子不二夫全集1巻収録
「ドラえもん未来へ帰る」と同様な理由により描かれた。
のび太の成長によりドラえもんが未来に帰る話。
この後は掲載紙が拡大されたため、年度末の最終回は描かれなくなった。
- 暫定的な最終回「さようならドラえもんの巻」(第1期テレビ版)
- 1973年放送。(ソフト未発売)
日本テレビのアニメ版ドラえもんの最終回として作られた。
ストーリーは「ドラえもんがいなくなっちゃう?」に準じる。
- 撤回された最終回「さようならドラえもん」
- 1974年掲載。てんとう虫コミックス6巻収録
諸事情から連載終了となり描かれたもの。ドラえもんが未来へ帰る話であり、ストーリー的にも最終回らしい決着が描かれている。
執筆後に諸事情から(作者が思い直した説。読者の反響説)「帰ってきたドラえもん」が描かれることなり、「最終回」として作られながらも撤回された。シャーロック・ホームズ譚の「最後の事件」的な扱い。
- 都市伝説の最終回<のび太が病気>
- 1986年ごろに流行した噂。出典や伝播経路は不詳。
ドラえもんの最終回が夢オチだったなど派生形が幾つか存在するが、作者が公式に否定している。
- 二次創作の最終回<電池切れ>
- 1990年代にファンによって作られた小説および漫画。
ネットや同人誌で広がったが、小説は二次作者の意向で公開停止。二次創作漫画版は著作権問題でお蔵入りとなった。
ドラえもんが電池切れで動作しなくなり、ある科学者によって復活するというもの。
映画「ジュブナイル」(2000年)はこの話がヒントとなったことを公表している。
- 気分は最終回「45年後・・・」
- 1985年掲載。てんとう虫コミックス ドラえもんプラス5巻収録
のび太のところに45年後の大人のび太がやってくる話。
ページ数も少なく、特に感動的な盛り上げも無いため読み飛ばしてしまいそうですが、「もしこれが最終回だったら?」と想像しながら読むと含蓄の深い作品です。
小学館の学習誌でのドラえもんの連載は1991年まで続いている。体調不良による執筆中断期(1987年)、コンビ解消(1988年)とも時期がずれており、最終回を意識して描かれたのかは不明。
- 掲載された最終回「ガラパ星から来た男」
- 1994年掲載。てんとう虫コミックス45巻収録
小学館の学習雑誌での連載が終了した後、連載25周年を記念して描かれたもの。
連載誌に載った最後のエピソードであり、単行本の最終巻の巻末に掲載されている。書誌学的にはこれが最終回であろう。
銀河中心にある「ガラパ星」の遺伝子操作で作られたアリと戦う話。タイムパラドクスが駆使されており読み応えはあるが、ドラえもんシリーズの終わりを匂わせるような内容は含まれない。
- ひとまず最終回「ドラえもんに休日を?!」
-
2005年放送。(ソフト未発売?)
1979年から続いていたアニメ版のスタッフ総入れ替え(声優・制作)に伴う区切りの作品。
通常放送の最終回として「45年後・・・」、翌週の特番では「ドラえもんに休日を?!」が放送された。
「~休日を」の原作(てんとう虫コミックス35巻)は、のび太の自立をテーマにしているが、最終回らしさはないため、アニメ版ではエピソードを膨らませ「現スタッフで作る最終回」にふさわしい話となった。
などなど、多岐にわたります。
どれを最終回とみなすかは読み手に委ねられている、ということで良いでしょう。
僕は「45年後・・・」が最終話にふさわしいと思います。
大人のび太と少年のび太が年齢差からチグハグな会話を交わし、それでも最後はお互いに何かを得て日常に戻っていくという象徴的な構成であることがその理由ですね。
少年時代は永遠に終わってほしくない、けれど「成長」を避けて通ることはできないという葛藤を、タイムマシンで上手く回避しています。
ドラえもんの連載開始は1969年12月なので、今年で連載45年です。
ついでに、僕も今日で生誕45年になりました。
大人のび太の語る「遠い昔によんだ本をもう一度よみ返してみたい。そんな気もちかな」というセリフが、ようやく実感できるようになってきました。