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親愛なる隣人

恥ずかしながら路上でチンピラに絡まれてしまいました。
5分ほど因縁を付けられましたが、怪我も物損もなし。
メモ代わりに経緯を書いておきます。あまり愉快な話ではないので気に入らない人は読み飛ばしてね。

事件が起きたのは札幌市内のビジネス街で、交番までは100m程。日中で人通りも多く、周りは旅行者・サラリーマン・家族連れなど。危険な雰囲気は全くない場所でした。

僕が信号待ちをしていると「兄ちゃん、どっから来た~?」と馴れ馴れしく聞いてくる人があります。「札幌です」と答えると矢継ぎ早に「札幌のどこ~?」と再び質問。うーん、面倒くさいというのが第一印象。
相手は六十代ぐらいの二人組、中肉中背でジャケット姿。一見するとマトモなのですが、よく見ると胸に怪しいバッヂを着けています。
僕に話しかけるのは一人だけで、もう一人は後ろから見守る感じ。よくある宗教勧誘の風景ですね。

住所まで教える義理はないので「ご用件は何でしょうか?」と尋ねると態度が豹変。「何じゃと? どっから来たって聞いとるんじゃ~!」と声を荒げてきます。
(「これだけで怒る人がいるの?」と疑問を持つ方もいると思いますが、本当にこれだけです)
ひたすら丁寧に「あの、ご用件は何でしょうか?」と聞き返すと相手は更にヒートアップ。「こっちが聞いとるんじゃ、どっから来た? 答えんかい!」と凄んできます。キミ、何様なのさ。
「札幌だと言いましたよ」と答えると「なに口答えしとんじゃ? 質問がわからんのか? お前、外国人か?」と、手の付けられない始末になってしまいました。

その間、もう一人はニヤニヤしながらこちらを見ています。怒鳴り声を聞いても平然としているということは、男の罵声は日常茶飯事ということか・・・やれやれ。
相手は「あぁ? おら~?」と日本語がトンで来ているし、体も小刻みに震えています。
しかもこちらは重いリュックに手荷物という状態で逃げるに逃げられません。詰んじゃいました・・・

身の危険を感じたので、思わず防御態勢をとりました。相手から半身になるように立ち、拳を立てて、いつでも蹴りが出せる体制。一瞬「ケンカ売ってるように見えるかな?」と心配しましたが、相手は全く反応できていません。威勢はいいものの荒事には慣れていないようです。
このままイケるんじゃね? と間合いを詰めて相手の顔を凝視。向こうは相変わらず怒鳴ってますが、こちらは無言で通しました。

このまま殴ったら過剰防衛だよな~と悩んでいると、宗教君の一方が「もういいだろ」と怒鳴り男を羽交い絞めにして遠ざけて行きました。ていうか、僕に謝れよ?
男は遠ざかりながら「どういうつもりじゃ!?」「あぁ~?」と大声。もう一人の手を振りほどいて再びこちらに駆け寄るそぶりを見せています。
が、10mも遠ざかってからそんなポーズとっても完全に負け犬の遠吠え。これにて一件落着です。
念のため交番には届けたので、万が一何かあれば、その宗教団体ごと晒します。

今回は相手が高齢で、体力的にはこちらが優勢だったので、わりと冷静に対応できました。格闘の専門家とか武器を持ってたりしたらアウトだけど、その手の人でなかったのも幸いでした。

それにしても、こういう時って誰も助けてくれませんね~
通り魔事件も相次いでるし関わりたくはないんでしょうけど、10人近くが取り巻いていて誰も交番に行ってくれない。
「機関車よりも強いスーパーマン」や「親愛なる隣人・スパイダーマン」までは求めませんが、お巡りさんを呼ぶとか、声かけするとか、ちょっとした一歩で暴力事件は防げるんですよね。
それと、襲われた時には大声で「助けて!」と叫ぶのがベストです。生兵法は怪我の元。
(場所と状況は、念のため少し変えてあります)

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ちょっと通りますよ

金星の太陽面通過を見る。なんだか天文ショーが続いていますね。
金星が太陽の前面を通過するというイベントです。原理的には日食と同じなのですが、金星は地球から遠すぎるためにわずかな面積しか隠されません。よほど注意深く見ないと気づかない地味な現象です。

前回(2004年)は全く話題に上らなかったような気がしますが、今回は金環日食の直後で、まだみんな観測グラスを持っているので話題になったようですね。
次回は百年以上先の2117年という事から「最後のチャンス」として報道が煽ったのも原因かも。
いずれにせよ、世俗から超越した出来事に目が向くのは良い事だと思います。

僕としては観測するつもりは全くなかったのですが、日食や月食の写真をウェブに上げていたら「次は金星の日面通過が楽しみですね」というコメントを貰ってしまい、引くに引けない感じなので見てしまいました。

出勤前に適当な機材で撮ったのが上の写真。謙遜ではなく本当に適当なので、サイズも小さいしノイズだらけです。
お昼休みに食の最大を撮ろうかと思っていたら曇天に変わり、雨まで降り出しました。
そんなわけで今回の成果は上の一枚だけでした。

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欠ける空

今日は部分月食。今年は天体ショーが多いですね。
欠け始めは18時59分、最大食が20:03という見やすい時間帯です。
今回は別に見なくてもいいかと思っていたのですが、20時ごろに窓から外を見ると欠けた月が東の空にポッカリと浮かんでいます。
ネットで検索すると首都圏は曇っていて見えないとの事。晴れているのに見ないのは申し訳ない気がして、カメラと望遠鏡を引っ張り出してみました。

そういう訳で欠け始めは見ていないのですが、最大食から食の終わりまで撮りました。
写真は10分ごとの変化をフォトショップで並べたもの。実際の天空でこういう位置関係に見える訳ではありませんのでご注意を。
大きなサイズの画像 (3576x596pixel)を置いておきます。

蛇足ながら月食のまめ知識を。
先ず、日食の場合の開始終了時刻は観測する場所によって変化しますが、月食の場合は全世界で同時に始まり同時に終ります。

次に、通常の月の満ち欠けと月食では欠けたときの形が異なります(右図)。
通常の満ち欠けは光が当たった半球を見ているので、弧の両端を結んだ線は月の直径に一致します。
月食は満月の円に直径の違う地球の円が重なるので、弧の直径を結んだ線は月の直径に一致しません。図では再現していませんが、月食の場合は明暗の境界線がボヤけているのも特徴です。

また、地球の直径は月よりも大きいので、映画やアニメに出てくるような極端な弧を描いた月を見る事は出来ません。
小学校で習ったはずの事ですが、いざ考えてみると色々不思議ですね。

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タナトス

TVの謝罪会見などで、問い詰められた責任者が長時間黙り込むという場面を目にします。
普通に見ていると「都合が悪いから喋りたくないんだよね」という感想を持ってしまいますが、人間は心理的に追いつめられると「声を出す」という簡単なことすら出来なくなってしまうんですよ。

つい先日近親者が亡くなり、立場上僕が連絡して回ることになりました。
電話で一通りあいさつした後「実は~」と切り出した瞬間、口が固まり何も言えなくなってしまいました。
次に何を話すか頭の中では分かっているのに、どうしても言葉になりません。それどころか「えーっと」といった間投詞すら出てこない、もう完全に石になってしまいました。
声を出せるまで1分ぐらいかかったでしょうか。
口がきけなくなるという体験は生まれて初めてでした。

人間というのは「この言葉を発したら相手はどう感じるか」というのを瞬間的にシミュレートしているのだと思います。
そして、自分の主張が最大限に伝わるように、かつ相手の感情をなるべく害さないように、無意識のうちに言葉を変化させる習慣がついているのではないでしょうか。
漫画を読んでいて「フリーザ死んだよね」だったら、相手はむしろ話題に食いついてくる訳ですから、何の躊躇もなく「死んだ」と口に出せます。
これが身近な人物の訃報だと、相手に強いショックを与えてしまう訳ですから、たったの一言が言えないという状況が発生するのでしょう。

昔の偉い人は「口から出た言葉は相手の耳に届く。心から出た言葉は相手の心に届く」と言っています。
世の中で詐欺師とか嘘つきとか言われている人は、自分の発している言葉が「口先だけ」であり相手の耳に届いた後は泡になって消えてしまうという事を知っているのでしょう。
だからこそ詐欺師は驚くような嘘を平気でつけるのだろうと想像します。

今回の件で言葉には重みがあることを痛感しました。相手の心に届く言葉が言える大人になりたいです。

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金環日食5 その名はZ

日食の撤収を終えると午前9時半。飛行機の出発まで6時間ありますが、名古屋滞在はあと1時間が限度です。

とりあえずタクシーを捕まえ「名古屋城が見たい」と伝えて撮影スポットに案内してもらいました。
三カ所で停まってもらい、お堀や金のシャチホコなどを撮影。
そのままタクシーで名古屋駅まで。時間が無いとは言え、贅沢してしまいました。

近鉄線では三重県の「津」駅を通過。
ホームに平仮名で「つ」と書いてあるのはシュールです。
平仮名では日本最短の駅名ですが、ローマ字表記は”Tsu”となるため、鹿児島県の頴娃駅(えい/ei)、長崎県の小江駅(おえ/Oe)などが最短のようです。
しかし、「えい」「おえ」は二音節、「つ」は一音節だから、最短の称号は津駅にあげたいところ。
さらに調べると「津」はギネスブックには”Z”で登録されており、世界最短の駅名なんだとか。考えた人にはアイディア賞をあげたい。

駅はローマ字だと”eki”だから、英語の”Station”よりもはるかに短い。なんの利点もありませんが、”Z eki”は世界に誇れる最短「駅名」ですね。

近鉄名古屋-大阪難波(10:30-12:41)4650円、難波-関空(13:10-13:57)890円。

帰りのピーチも時間通りに到着。関空ー千歳(1535-17:30)
札幌市内は見事な夕焼けでした。
あの太陽が今朝は欠けていたのかと、思わず見入ってしまいました。
(日食編、おわり)